
下痢と吐き気を伴うお腹の痛み。それはもしかすると「感染性胃腸炎」かもしれません。聞いたことがあるような、ないような病名ですが、「ノロウィルス」といわれるとピンとくるでしょう。
ノロウィルスに代表される「感染性胃腸炎」は、ウィルス性と呼ばれ、他にも最近ではロタウィルス、アデノウィルスが猛威をふるっています。どれも主に冬に見られるのが特徴です。(※アデノウィルスは夏にも感染します)
また「感染性胃腸炎」はウィルス性だけではありません。それはサルモネラに代表される細菌性です。他にも腸炎ビブリオ、ブドウ球菌、腸管出血性大腸菌などがあり、こちらはウィルス性とは違って夏に見られ、夏場の食中毒はこれらが原因です。
症状
腹痛、下痢、吐き気や嘔吐以外に、発熱や体がだるくなったり、ときには血便もみられます。下痢便の恐ろしさは他記事でも触れましたが、気をつけるところは脱水症状です。発熱も高熱を伴うことがあるので、なおさら注意が必要となります。またウィルス性の場合、咳や鼻水といった症状を伴うこともあります。
治療
ウィルス性胃腸炎には有効な抗ウィルス薬がありません。よって対症療法(諸症状を一時的に和らげたり、なくしたりする治療法)が主になります。細菌性腸炎には、抗菌薬などの抗生物質が用いられます。
嘔吐開始後、3~4時間程度は何も口に入れなくても吐いてしまうので、あまり飲んだり食べたりはしない方がいいでしょう。以降は少しずつであれば、徐々に吐かなくなっていきます。
嘔吐も下痢も、体内から病原体を排出しようとする防衛反応です。そのため下痢止めは服用しない方がいいでしょう。それよりも下痢を止めずに脱水を避けるため、水分補給に努めた方が有効だと言えます。
細菌性胃腸炎
原因菌により症状が多種多様になります。中でも代表的なものを以下にまとめました。
サルモネラ
潜伏期1~5日、発熱が特徴で1週間ほど続くこともあります。悪寒、嘔吐に始まり、腹痛に症状が変わります。
腸炎ビブリオ
潜伏期12~24時間、一般に潜伏期間が短いほど重篤な症状になる傾向があります。ものすごくお腹が痛い、下痢、激しい嘔吐、などが特徴であり、通常は2~3日で快復に向かいます。
ブドウ球菌
潜伏期2~3時間、突然嘔吐やお腹の痛みに襲われます。しかし下痢や発熱が見られることは少なく、ほとんどは24時間以内に快癒します。
腸管出血性大腸菌
潜伏期4~8日、代表的な細菌は「O-157」など。激しい腹痛を伴った水っぽい下痢(水様便)が頻繁に起こり、その後血便が出ます。一過性のものも含めて、いずれも強い症状を伴うものばかりです。ある程度は手洗いの徹底などで予防できますので、感染しないよう注意しましょう。